英語の基本動詞「have」(持っている)は、英語を学んでいると何度も登場する重要単語の1つですよね。
しかし「have」は他の単語とは異なり、「所有」「経験」「使役」「現在完了」と複数の使い方があるので、「持っている」という意味を知っていても文章が読めないことが多々あります。
例えば、
- I have a pen.(私はペンを持っている)
- I had a headache.(私は頭痛を経験した)
- I had my hair cut.(私は髪を切ってもらった)
- I have been to London.(私はロンドンに行ったことがある)
このように、英文法を学んでいると意味や用法を変えて何度も登場してきますので、
「haveの意味が多すぎて何が何だかわからない…」
と感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、この「have」はすべての用法が あるひとつの共通イメージ「コアイメージ 」によってつながっているので、その「コアイメージ」を理解することで「have」の用法や使い方が身につきます。
今回は、「have」が持つ「コアイメージ」と、そのコアイメージとそれぞれの意味・用法との関係性について解説します。
haveのコアイメージ:「自分の支配・管理下に置く」
haveのコアイメージは「自分の支配・管理下に置く」です。
先ほど「have」には「所有」「経験」「使役」「現在完了」の4つの用法があると述べましたが、この4つの用法の根底には、「何かを自分の影響範囲に置いている」という感覚があります。
have=「所有する」だけではなく、「経験する」「させる」「影響を受ける」なども、その行動や状態が「自分と関わっている=支配・管理下に置く」という意味を含んでいます。
以下で、コアイメージとそれぞれの用法との関係を解説します。
コアイメージと用法の関係
1. 所有:モノが自分の手元・管理下にある
「have」の最も基本的な意味は「所有」で、辞書で「have」と調べると1番はじめに「持っている」がこの「所有」に当てはまります。
「have」の最も基本的な意味は「所有する」ですが、これはまさに「物が自分の支配下にある」状態を表しています。

例:I have a car.(私は車を持っている)
例えば、例文では「私は車を持っている」となっていますが、実際はただ持っているだけでなく「自由に使える・管理できる」状態にあるという意味になります。
(つまり、レンタカーなど一時的に持っているだけでは支配下にあるといえません。)
このように、「所有」のhaveは、物理的に自分のものが「自分の支配下にある」状態を表しており自由にコントロールできるものであることがわかります。
2. 経験:出来事や感情が自分の身に起こった
haveは、「経験」の意味でもよく使われます。
これは、自分の身に起こった出来事や感情を「経験として持っていた」=「自分の中に一時的に支配下として存在していた」というようなイメージです。

例)
- I had a great time.(楽しい時間を過ごした)
- She had a headache.(彼女は頭痛があった)
例文のように、自分の身に起こったことを「経験として持っている」=「自分の支配下にあった」という解釈ができます。
3. 使役:人や物を動かして、自分のために何かさせる
「使役」のhaveでは、人に何かをさせたり、物をある状態にさせたりする働きがあります。

・I had my assistant call the client.
(アシスタントにクライアントへ電話をかけさせた)
このときのhaveは、「人を自分の影響下で動かしている」=「自分の管理下で何かをさせている」という意味として使われています。
他にも「ものを〜してもらう」のようにものに対しても使うことができます。
- I had my car repaired.(車を修理してもらった)
→ 自分が持つ物(車)に対して、ある処置を施させた
このように、「自分の指示・影響によって物事を動かす」=「人や出来事を自分の支配・管理下に置く」という意味になります。
強制ではなく、自分の影響力で動かす点がhaveを用いた「使役」の特徴です。
4. 現在完了:過去の出来事を今の自分が持っている
現在完了形(have + 過去分詞)は、一見「haveの特殊な用法」に思ってしまうかもしれません。
しかし、この「現在完了形」もコアイメージで説明できます。
現在完了形 “have + 過去分詞” は、過去に起こったことが「今の自分に関係・影響している」状態を表します。

- I have finished my homework.
(宿題を終わらせた → 今、終わっている状態) - I have visited New York twice.
(ニューヨークを2回訪れたことがある → 経験を今“持っている”)
このように、現在完了形では過去の出来事や結果が「今の自分に関係している」「影響を残している」状態を表します。
つまり、過去の経験を今なお自分の管理下に置いていることを「現在完了形」として表現しています。
他の使役動詞「get」「make」「let」との違い
動詞 | コアイメージ | 使役表現のニュアンス |
have | 支配・管理 | 自分のために人にやらせる(中立) |
make | 強制・命令 | 無理やりさせる(強い) |
let | 許可・自由 | 自由にさせる(弱い) |
get | 説得・働きかけ | 〜してもらう(丁寧) |
haveは強制でも許可でもなく、「自分がその出来事をコントロールした」という意味で、使役の中でも最も汎用的です。
まとめ:haveは「自分が関わるすべてを表現できる」万能動詞
用法 | 意味 | 「コアイメージ」との関係 |
所有 | モノを持っている | 管理下にある物を持つ |
経験 | 出来事が身に起こった | 出来事を持つ |
使役 | 人や物に〜させる | 自分がコントロールして起こす |
現在完了 | 結果・経験を持っている | 今も影響を受けている状態 |
英語の基本動詞は、意味を「覚える」のではなく、「イメージとして理解する」ことがポイントです。
「have = 持っている」だけで暗記すると混乱しますが、
「have = 自分のところにある(支配・管理下にある)」と捉えれば、すべてが一つの軸でつながります。
とはいえ、コアイメージを知ったからといって、残念ながらすぐにhaveを使いこなせるようにはなりません。
英文法を「理解」から「使いこなすスキル」にするには音読が効果的です。
コアイメージを音読を通して体に染み込ませることで、より理解が深まり使いこなせるようになるのでぜひ試してみてはいかがでしょうか!
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