「英語は日本語と文法が違いすぎて難しい」
これは英語を勉強したことがある人は皆感じたことがあると思います。
これは英語特有のものなのか、それともヨーロッパの他の言語も同じように難しいのでしょうか?
私は海外サッカー(特にスペインリーグ)が好きだったこともあり、大学時代の第2言語にスペイン語を選択しました。
スペイン語の文法は英語に似ていたので理解しやすかったのですが、英語にはない見慣れない文法ルールがありました。
それは男性名詞・女性名詞です。
スペイン語には名詞に性別の概念があり、それに合わせて冠詞や形容詞が変化します。
例えば、スペインのサッカーリーグは女性名詞であり「La Liga」と表記されます。
laは女性名詞につく冠詞(男性名詞につく冠詞はel)であり、語尾がaで終わるものの多くが女性名詞となります。(男性名詞はoで終わることが多い)
また、天気予報でよく聞く「エルニーニョ(El Niño)」「ラニーニャ(La Niña)」もスペイン語であり、それぞれ男の子・女の子を意味し名詞の表記もそれそれの性別になっています。
名詞に性別が存在するルールはスペイン語の他のラテン語系(フランス語、イタリア語)やドイツ語、ギリシャ語など多くのヨーロッパ言語に共通しています。
そこである疑問が生まれます。
「なぜヨーロッパ言語である英語には名詞に性別がないのか」
今回はこの疑問について解説していきます!
英語の名詞に性別が存在しない理由
英語のもとになった言語はゲルマン系であるアングル語とされており、アングル語には男性名詞・女性名詞・中世名詞が存在していたといわれています。
アングロサクソン人がブリテン島に侵攻したのが5世紀ほどであり、それから11世紀ごろまではアングル語が変化した古代英語(日本でいう古文のようなもの)が使われていました。
しかし、フランスのノルマン人であるウィリアムズが当時のイギリスの王になったことで、フランス人といっしょにフランス語がブリテン島に入ってきました。
フランス人による支配は3世紀ほど続いたため、フランス語は王や貴族が使う言葉にとどまらずイギリスの第1言語にまでなってしまい、英語は庶民の話し言葉として残ったもの以外(書き言葉など)は消滅してしましました。
イギリスとフランスとの100年戦争もあり、イギリスは再び自国語である英語を使い始めましたが、長い間表舞台から遠ざかっていたこともあり独自に進化しました。
その3世紀の間に英語から男性名詞・女性名詞・中世名詞が無くなったといわれており、その後も名詞から性別の概念がないまま英語が発展し、現在の英語になりました。